星屑
勇介と第4校舎の階段で遭遇したのは、それから数日後だった。


だからまた、あたし達はあの鍵で屋上に忍び込み、まるでお年寄りのようにひなたぼっこをする。


勇介は煙草を吸いながら、空へと煙を滲ませた。



「何かさ、これだけ天気良いと、学校サボって単車ぶっ飛ばして、どっか遠くに行きたくなるっつーか?」


「あぁ、わかる。」


あたし達は壁に寄り掛かり、やっぱり空ばかり見上げている。


沙雪の手前、会えば必ず立ち止まるようにはなったものの、あたし達がまともな会話をするのなんて本当に久々だ。



「そういや大地、さゆちゃんのこと可愛いってさ。」


まるで思考が伝わっているかのような言葉に、あそ、とあたしは言う。


だからなのだろう、やっぱり勇介とのふたりきりでの会話は、楽で良い。


思ってることなんて同じなんだろうし、だから例え一緒にいてずっと喋らなくても、苦にはならない感じだ。



「あのふたりってさ、そのうち付き合うのかな?」


「わかんないけど、このまま仲良くなったらそうなっちゃいそうだね。」


勇介は他人事のように笑っている。


笑ってから、思いついたようにあたしを見た。



「でもそれだと、まず樹里ちゃんに頭下げなきゃいけないっぽいね。」


樹里は怖いからね、と同じように笑った。


ふたりで流れる雲を見ては、あれは何に似てる、とか、美味しそう、とか。


そんな他愛もない会話ばかりを繰り返した。

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