星屑
「ねぇ、大地くんって信用出来んの?」


いぶかしげに問うてみれば、彼はんー、と考えるような仕草を見せる。


そして他人事のような顔をして、どうだろうね、と笑う。


つまりは勇介同様、ろくなもんじゃないらしい。



「アイツも結構遊んでるけど、でも、本気になったらわかんないじゃん?」


アイツも、ってところが引っ掛かるけど。


何だか一抹の不安は残るものの、外野が心配してたって無駄なのだろう。


ため息を混じらせ、空を仰いだ。



「勇介は?」


「俺?」


「モテるんだし、カノジョ作んないの?」


「奈々こそカレシ作んないの?」


「あたし好きな人いないし。」


「じゃあ、お互いそれで良いじゃん。」


何が良いんだかサッパリだ。


呆れたように視線を戻してみれば、笑いながら勇介は、あたしにキスをする。


てか、コイツのキスをするタイミングってのが、いつもわかんないんだけど。


例えば美味しそうにご飯を食べることと同じように、彼は楽しそうにあたしの唇に触れる。


親が子供に触れることが当然のように、もしかしたらあたし達がキスばかり繰り返すことも普通なのかな、なんて錯覚さえ起こしそうなほど。


気持ち良いな、と思っていれば、鳴り響いたのはチャイムの音。



「残念、時間切れか。」


笑いながら体を離した勇介は、じゃあね、なんて言って屋上を後にする。


あたしは壁に寄り掛かったまま、また空を見上げた。

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