星屑
雨粒よりもずっと冷たい、ヒロトの瞳。


言葉が出ないあたしを睨むようなそれは、人を畏怖させる力さえ持つ。



「それって土屋が好きってこと?」


一体、何を言っているんだろう。


ヒロトが嫌ってことが、どうして勇介を好きということに繋がるのか。


体が震え始めて、雨の冷たさの所為にしたかったのに。



「なぁ、いい加減はっきりさせようぜ。」


迷いを一蹴するような、ヒロトの言葉。


彼が真剣ならば、そんな風に簡単には答えを出せない。



「…そんな、こと…」


「俺にしとけよ。」


だけども彼はそう言った。


それはつまり、答えを出せと迫っているということ。



「ごめん、帰る。」


ヒロトを振り切り、雨に濡れながらきびすを返した。


彼は制止することも、ましてや追い掛けてくることもせず、世界は雨音が支配している。


そこからどうやって家に辿り着いたのか、それからどうやって過ごしたのかは、思い出せない。


ただ、記憶にあるのは、雨粒に濡れた体の冷たさだけ。


ヒロトを好きになりきれない自分への嫌悪感にはばまれ、心底嫌気がさした。

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