星屑
「一途って良いなぁ。
さゆも一途に愛されたーい!」


沙雪の馬鹿さ加減には、呆れ返るばかりだ。


食べ終わったチュッパの棒をゴミ箱に放り投げ、肩をすくめた。



「じゃあ、沙雪がヒロトと付き合ってあげれば?」


話を振っておいて何だが、今はヒロトなんかどうだって良い。


あたしの頭の中を占めているのは、確実に勇介だ。


なのに、



「奈々ってヒロトのこと、どう思ってんの?」


聞いてきたのは樹里だった。



「あたしがアイツのこと好きに見える?」


「じゃあ、嫌いなんだぁ?」


「好きでも嫌いでもない。
恋愛対象じゃないよ、あんなのは。」


ヒロトはチャラい上に喧嘩っ早い。


そういうのは嫌いだし、だからアイツをそんな目では見られない、というだけのこと。



「じゃあさ、どんなのが恋愛対象なの?」


今度は身を乗り出したように沙雪が聞いて来る。


また先ほどの勇介のことを思い出し、急いで頭の中から追い出した。



「軽薄そうじゃないヤツ。」


そう言うと、彼女はケラケラと笑う。


沙雪は見るからにチャラそうな男とばかり恋をしているし、樹里は年上ばかりで、今は大学生と付き合っているのだとか。


その前は、確か妻子持ちだったと思うが。


なのであたしは、普通のヤツが一番良いと思っている。



「奈々っていっつも、変なのばっかと付き合うもんね。」

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