星屑
教室から窓の外に視線を投げ、力を抜いてみれば体が弛緩する。
もうずっと、頭の中を占めていたのは勇介だった。
だから多分、ヒロトがどうとかいう問題ではなく、でも彼ではダメなのだろうと思う。
「元気ないじゃん。」
振り返ってみれば、笑っていたのは樹里だった。
まぁね、とだけ返してまた外へと視線を向けてみれば、彼女も身を乗り出すようにして窓枠に頬杖をついた。
あの大学生と別れたという話は聞いたものの、それ以上のことは今も知らないままだ。
「ねぇ、あたしって勇介のこと好きなのかな?」
思わず漏らしてしまった疑問符に、樹里は目を丸くしてこちらを見た。
そしてあたしに聞かれてもねぇ、なんて言いながら、視線は外される。
「アンタがヒロトのこと好きになれないなら、それってしょうがないことでしょ。」
まったく、勘の良い親友だ。
思わず苦笑いを浮かべてしまい、前より少し強くなった陽射しに目を細めた。
青々とした芝生の色も、陰りのない空の色も、もう夏も間近という証拠のよう。
「勇介と付き合うの?」
自分で聞いておいて、あたしが答えるより先に、じゃあヒロトが泣くなぁ、なんて彼女はおどける。
彼の一瞬だけ見せた寂しそうな瞳は、今もまぶたの裏にこびり付いていて、だからそれを思えば無性に罪悪感に駆られるのだ。
あたしとヒロトは、一体どちらが卑怯なのかがわからなくなる。
「いっその事、どっちとも付き合っちゃえば?」
「何でそうなんのよ。」
あたしが口元を引き攣らせるも、ふと、思い付いたように樹里は、そういえば、と言葉を手繰り寄せた。
「ねぇ、大地って沙雪に本気だと思う?」
もうずっと、頭の中を占めていたのは勇介だった。
だから多分、ヒロトがどうとかいう問題ではなく、でも彼ではダメなのだろうと思う。
「元気ないじゃん。」
振り返ってみれば、笑っていたのは樹里だった。
まぁね、とだけ返してまた外へと視線を向けてみれば、彼女も身を乗り出すようにして窓枠に頬杖をついた。
あの大学生と別れたという話は聞いたものの、それ以上のことは今も知らないままだ。
「ねぇ、あたしって勇介のこと好きなのかな?」
思わず漏らしてしまった疑問符に、樹里は目を丸くしてこちらを見た。
そしてあたしに聞かれてもねぇ、なんて言いながら、視線は外される。
「アンタがヒロトのこと好きになれないなら、それってしょうがないことでしょ。」
まったく、勘の良い親友だ。
思わず苦笑いを浮かべてしまい、前より少し強くなった陽射しに目を細めた。
青々とした芝生の色も、陰りのない空の色も、もう夏も間近という証拠のよう。
「勇介と付き合うの?」
自分で聞いておいて、あたしが答えるより先に、じゃあヒロトが泣くなぁ、なんて彼女はおどける。
彼の一瞬だけ見せた寂しそうな瞳は、今もまぶたの裏にこびり付いていて、だからそれを思えば無性に罪悪感に駆られるのだ。
あたしとヒロトは、一体どちらが卑怯なのかがわからなくなる。
「いっその事、どっちとも付き合っちゃえば?」
「何でそうなんのよ。」
あたしが口元を引き攣らせるも、ふと、思い付いたように樹里は、そういえば、と言葉を手繰り寄せた。
「ねぇ、大地って沙雪に本気だと思う?」