星屑
「…は?」


突然、彼女は一体何を言い出したのか。



「大地ってさぁ、誰でも良いから付き合ってるように見えるのは、あたしの気の所為?」


樹里は首を傾けた。


あたしから見れば、ふたりはラブラブってヤツだと思っていたのだが、彼女は直感的に感じたことを言葉にしてくれる。



「さゆに本気じゃないように見える。」


「…やめようよ、そんな話。」


仮定だとしても、そんなことを易々と言うべきではない気がした。


だって沙雪は大地くんのことが本当に好きだってことくらい見てればわかるのだし、だからこそ、聞きたいとも思わない。



「ねぇ、本気って、何?」


眉を寄せるあたしに、樹里は言葉を詰まらせた。



「あのふたり、まだ付き合って日が浅いんだよ?」


「…いや、そうだけどさぁ…」


煮え切らない彼女の態度に、ため息が漏れる。


樹里の心配もわかるけど、先ほどの言葉はお節介に他ならない。



「てか、もしそうだったとしても、うちらが口出すべきじゃないじゃん。」


それで沙雪が思い悩むことを思えば、あたしは黙っておく方を選ぶ。


樹里はあまり納得出来ないような顔で、視線を外した。



「ごめん。」


ぽつりと落とされた彼女の言葉が、青すぎる空の色に滲んで消えた。

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