星屑
でも、明確に言葉にすることは出来なかった。


ヒロトの傷ついたような瞳は今もはっきりと覚えていて、だからもう、そんなものを見たくはなかったのだ。


やっぱりあたしは最低だったろう。



「それってアイツと付き合ってる、ってことかよ?」


彼はなるべく平静に問うてくる。


まるで怒りを必死で押し殺しているかのようで、だからその顔なんて見られなかった。



「アイツの何が良いんだよ?」


それを肯定と受け取ったのか、ヒロトは詰め寄ってくる。


なのにあたしは、上手く場を収める言葉ばかりを探してしまう。



「ヒロトだってあたしの何が良いの?」


睨み上げてみれば、また舌打ちを吐き捨てられた。


そして、もう良い、と彼は言う。



「つーかもう、冷めたわ。」


視線を逸らし、ヒロトは髪の毛を掻き上げた。


あたしの方を見ようとはせず、だから身勝手にも捨てられたような気持ちになるのだ。


この人を傷つけているのはあたしなのに、と自己嫌悪に襲われるけど。


それでも引き留めるようなことは言えなかった。


去っていくヒロトと、俯くあたし。


朝日の色に似つかわしくないほどに、心の中に真っ黒いものが広がっている気がした。

< 205 / 418 >

この作品をシェア

pagetop