星屑
「何かふたり共、元気ないねぇ。」


困ったように言いながら、彼はあたし達のちょうど中間の位置に置いてあった丸椅子に座り込み、子供みたいに足をぷらぷらとさせている。



「さゆまで元気ねぇと、さすがに心配になんじゃん。」


言われた彼女は、だけども物憂げな顔をするだけ。


どうやらみんなのお兄ちゃんみたいなスッチは、妹的な沙雪には甘いようだし。


その様子に、あたしは肩をすくめて見せた。


だって樹里と何かあるっぽい彼なのに、どう見てもいつも通りだから。



「つーか、ふたり共何か喋ってくんないと、俺すげぇ困るんすけど。」


なぁ、喧嘩でもしたの?


なんて言いながら、スッチは諦めるようにため息を混じらせる。


でも、あたし達は別に、ただ自分のことを詮索されたくはないだけ。


だからこそ、聞きたがりなスッチには、正直いてほしくはない。



「さゆ、寝不足だからひとりになりたい。」


呟いた彼女は、読んでいた雑誌を投げて横になった。


スッチは不貞腐れるように宙を仰ぎ、はいはい、と口を尖らせる。


今まで彼にばかり恋愛相談をしていた沙雪なのに、珍しいことを言いやがる。


でも、スッチは諦めたのか、今度は丸椅子に座ったまま、あたしの方へと寄ってきた。



「奈々ちゃんも目が赤く見えるけど、寝不足?」


「うん、そんな感じ。」


へぇ、と言った彼だが、その顔は心底つまんなそうなもの。


きっとあたしの嘘なんて見破っているのだろうが、彼はそれ以上何も言わなかった。

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