星屑
散々感情を吐き出して、そしたら物悲しさだけに支配された。


みんなが何も言わなくなり、沈黙だけが訪れる。



「うちらはさゆの友達だし、何があってもそれは変わらないから。」


まるで確認するように、樹里は重く呟いた。


あたしが強く頷くと、沙雪は声を絞るように涙を混じらせる。


気付けばもう、店は西日の色が染まっていた。



「さゆ、体に障るし、俺送ってくからもう帰ろう?」


初めて口を開いたスッチは、ひどく悲しそうな顔でそう言った。



「ちゃんと病院行かなきゃだし、親にだってまだ言ってないだろ?」


まるで彼の方が本当の父親のように、優しく言う。


涙を拭った沙雪は立ち上がり、あたし達はまた泣きそうになった。


それでもこの状況ではスッチに任せることが一番で、やっぱり何も言えないままだ。


そんなあたし達を一瞥した彼は、沙雪の手を引いて店を出た。


ヒロトと勇介は、やっと体の力を抜いたように、そこで初めて煙草を咥える。



「大地、罪の意識とかないのかなぁ。
てか、何で女ばっか辛い想いしなきゃいけないの?」


樹里は、誰に問うでもなく呟いた。


確かに避妊をしなかった沙雪にだって問題はあるけど、それでも苦しむのはいつも女だ。



「さゆがそうやってしか大地を繋ぎ止めることが出来なかったなんて、悲しすぎるよ。」


樹里もきっとわかっているんだ。


最低なことをしたのは向こうだとしても、沙雪はそれでも別れなかったのだから。


だからこそ、大地くんのことが許せない。

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