星屑
“別れる”という単語にさえ、違和感を拭えなかった。


今となってはあたしと勇介は、本当に付き合っていたんだろうかとさえ思えてくる。


自嘲気味に笑うと、また泣きそうになってしまうが。



「アンタってさ、ホント馬鹿な男だよ。」


「お前に言われたくねぇっての。」


携帯を開くと、樹里と沙雪とスッチから、それぞれ心配する旨のメールが入っていた。


それに苦笑いを浮かべ、でも勇介からの連絡は、やっぱりないままだ。


アイツもあたしも互いに最低で、だからもう、責める気はない。



「ねぇ、戻ろうよ。」


奈々、とヒロトはあたしの名前を呼び、そして顔を見た。



「俺、やっぱアイツ嫌いだわ。」


眉を寄せて放たれた言葉に、笑ってしまう。


それでもいつまでもこんな場所に隠れていることも出来ないし、どのみちはっきりさせなきゃならない。



「ヒロトと付き合ったら、嫉妬深くて苦労しそうだね。」


「うるせぇよ、馬鹿。」


そしてふたりで、音楽室を後にした。


まだ授業中の校内は静けさが保たれていて、そして肌寒くもなったと思う。


教室の近くまで来たところで、あたしより先にヒロトが足を止めた。


目の前には、彼の姿だ。



「久しぶりだなぁ、土屋。」

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