星屑
「おいで。」


勇介は言った。


夜空には、満天の星。


街よりずっと空気が澄んでて、風が気持ち良くも吹き抜ける。


呼吸が楽になって、なのにそんな自分とは別に、息苦しさも感じていた。



「あたし達ってさ、結局何なんだろうね。」


友達よりもママよりも、ずっと近く深い気がしている。


こういう感情を抱いた人に出会ったことがなくて、だから自分の気持ちがわからないのだ。


なのに時々、ふと思う瞬間がある。


何故あたし達は、別々の存在として生まれているのか、と。


当たり前のことなのに、面倒だからもう、あたし達を溶かして混ぜたものを、人の形をした型枠に流し込んでくれれば良いのに、と。


こんなことを思うあたしは、やはりどこかおかしいのかもしれない。



「何か肌寒くなってきたし、帰る?」


体を離した勇介に、うん、と頷いた。


彼が先に立ち上がり、同じように立ち上がろうとした拍子にヒールの所為でよろめいて、わっ、と驚いた瞬間には強い力によって腕を引かれる。


気付けば彼によって助けるように抱きすくめられる格好になっていて、何故だか鼓動が速くなる。



「奈々って何でそんな危なっかしいんだよ。
今、ここから転げ落ちるかと思ってすげぇビビった。」


そのまま笑って背を向け、彼はあたしの手を引いてくれる。


まだ心臓の音が早くて、だからカタコトのようにありがと、と返すことしか出来ない。


勇介の手は冷たくて、なのにあたしの顔は真っ赤な気がして、振り向かれたら困ると思いながら、俯いた。


こんなにも、切なくなる理由がわかんない。



「俺さ、マジで奈々のこと好きなのかも。」

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