星屑
勇介が持っていたのはやはり屋上へと通ずる鍵だったようで、彼は慣れた手つきでそれを開ける。
キィッと少し錆付いた音がして、ドアが開いた。
「すっごーい。」
高いところは嫌いじゃない。
手入れすらされていないその場所は、コンクリートが少し欠けていたりと汚らしかったが、それでも心が躍った。
勇介ってヤツは、秘密の場所をいっぱい知っているらしい。
「あんまそっち行くと危ないから。
つーか、ドアの近くだけは他の校舎から良い具合に死角になってんの。」
へぇ、と返した。
どうやら彼は、相当ここでサボっているようだ。
「何でここの鍵とか持ってんの?」
「そりゃあ俺が魔法使いだからでしょ。」
「はいはい。」
呆れるようにあたしは、仕方がなくドアに背中を預けた。
「で、ホントは?」
「ホントは先輩に貰ったんだよ。
昔、すんげぇ弱い用務員のおっさんがいたらしくて、先輩がそいつ脅して合鍵作ったんだって。」
なんてろくでもない鍵なんだ。
喜んでしまった分、顔も知らない用務員さんが可哀想になってしまうが。
「で、俺はこの鍵の三代目の所有者ってわけ。」
「…何それ、受け継がれてんの?」
「そんな感じ。」
風が吹いて、やっぱり呆れながらも抜けるような青い空を見上げた。
雲がたゆたう様を見ては、それ以上怒ることも出来ないのだが。
キィッと少し錆付いた音がして、ドアが開いた。
「すっごーい。」
高いところは嫌いじゃない。
手入れすらされていないその場所は、コンクリートが少し欠けていたりと汚らしかったが、それでも心が躍った。
勇介ってヤツは、秘密の場所をいっぱい知っているらしい。
「あんまそっち行くと危ないから。
つーか、ドアの近くだけは他の校舎から良い具合に死角になってんの。」
へぇ、と返した。
どうやら彼は、相当ここでサボっているようだ。
「何でここの鍵とか持ってんの?」
「そりゃあ俺が魔法使いだからでしょ。」
「はいはい。」
呆れるようにあたしは、仕方がなくドアに背中を預けた。
「で、ホントは?」
「ホントは先輩に貰ったんだよ。
昔、すんげぇ弱い用務員のおっさんがいたらしくて、先輩がそいつ脅して合鍵作ったんだって。」
なんてろくでもない鍵なんだ。
喜んでしまった分、顔も知らない用務員さんが可哀想になってしまうが。
「で、俺はこの鍵の三代目の所有者ってわけ。」
「…何それ、受け継がれてんの?」
「そんな感じ。」
風が吹いて、やっぱり呆れながらも抜けるような青い空を見上げた。
雲がたゆたう様を見ては、それ以上怒ることも出来ないのだが。