星屑
勇介はあたしの隣で、同じように壁に背中を預ける。


一瞥してみれば、背が高くて整った顔立ちで、こういう場所がよく似合う。



「何で特別な場所、あたしに教えてくれたの?」


「だって奈々、誰にも言わなそうじゃん?」


あんまり答えになっていない気がするが。


じゃあなんて言ってほしかったんだよ、と自分自身に突っ込みを入れてみたり。



「勇介ってよくわかんないヤツだね。」


勇介のグループってのは、キャピった取り巻きみたいなのがいつもひっついている。


だから彼も、みんなと同じように平気で色んな女といるのだ。


時には腕を組んでいる姿も見た。


ただ、まるでそれが当たり前のような顔して歩いてるから、あたしも別に話しかけたりはしないだけ。


だけどふたりっきりになると、まるで別人のようで、だから勇介という男がよくわからない。



「俺も俺のことよくわかんないから。」


「何それ、余計に意味わかんないよ。」


まぁ、彼もまた、大してやる気もなく生きてる、ってことだろうけど。


ふわふわしてて、口調は柔らかくも優しくて、何より掴みどころがない。


なのにどこか冷たい瞳を持つ、不思議な男。


最初に会った時からずっとそうで、だから学校での彼には違和感を覚える。


作った顔、とでも言えば良いのだろうか、人前ではきっと、心から笑ったりなんてしていない気がする。

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