星屑
好きなのかと問われれば、きっと好きだろうと答えるはずだ。


けれど愛してるのかと問われれば、答えなんて見つけられるはずもなかった。


だからきっとあたしは、勇介に本当は彼女がいたとしても、何を思うこともない。


どうして出会ってしまったのか、なんてことは愚問なのかもしれない。


だってそんなことは、きっと問題ではないのだろうから。



「何かさ、こうやってひなたぼっこしてると眠くならない?」


そうだね、とあたしは笑う。



「奈々ちゃん膝枕して?」


「嫌だ。」


「速攻拒否ったね。」


勇介もまた、笑う。


たまに彼は、奈々ちゃん、とあたしを呼びたがる。


やっぱりそこに意味はないのだろうけど。



「そういうのはあたしじゃない女に頼みなさよね。」


やっぱり勇介は笑いながら、体を離した。


痛いところを突かれたという顔をするでもなく、大して気にしてもいないような様子だ。


とんでもなく軽薄なくせに、あたしを安心させる力を持っていることが不思議だけれど。



「そろそろ授業終わるし、俺戻るわ。」


「うん、じゃあね。」


そしてあたし達は、互いを引き留めるでもなく別れるのだ。


まぁ、またそのうち会えるだろう、なんて楽観的な考えを持って。

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