星屑
教室へと戻ってみれば、沙雪に引っ張られ、再び廊下に連れ出された。


何事かと思っていれば、彼女は不貞腐れるような顔で口を尖らせる。



「樹里って最近、変だと思わない?」


思うことは、たまにあるけど。


考えるように首を傾けてみれば、樹里って何も言ってくれないしー、と沙雪は言う。



「ねぇ、彼氏と上手くいってないのかなぁ?」


そんなことは、あたしじゃなくて本人に直接聞いてほしいのだが。



「わかんないけど、喧嘩でもしたんじゃないの?」


「奈々、ちょっと探って来てよ!」


何であたしが?


そう言いたかったけど、でも言わなかった。


ため息を混じらせるように沙雪から離れ、樹里の元へと向かう。


彼女もまた、抜けるような青い空を見つめていた。



「樹里さん、最近どうしたの?」


「…棒読みで言わないで。」


物憂い瞳は、呆れた様子でこちらに向けられる。


思わず曖昧に笑えば、彼女は長くため息を混じらせた。



「あたしは別に良いんだけどさ、あっちでギャルが心配してるから。」


沙雪の方を指差すと、それを一瞥した樹里は、あぁ、と言う。


そして困ったように肩をすくめた。



「たまにさ、全部が面倒になることって、ない?」

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