星屑
「だって何か面倒じゃない?」


「いやいや、今時そこらのおっさんでも流行りの曲を着信音にしてるっしょ。」


「それが嫌なんだって。
誰もしないから、鳴ってたらすぐ気付くじゃん?」


言ってやると、彼は声を上げて笑った。


何だかあたしが笑われているみたいで、少し腹も立つのだが。



「んなこと言って、ホントは機械オンチってだけじゃないの?」


「失礼なこと言わないでよ。」


「奈々ってさ、赤外線の使い方とか知らなーい、とか言いそうだもん。」


「知ってるっての。」


睨んだ瞬間、



「じゃあやって見せてよ。」


と言われて驚いた。


つまりは赤外線で番号を交換しようってことで、おまけに何ともタイミングの良いことに、お互い携帯を握っている状態だし。


多分あたしはまた、馬鹿みたいなことを言いながらも勇介に誘導されたのだろうと思う。


コイツは思った以上に賢くて、そしてスマートに事を運びやがる。



「…イタ電されそう。」


「しないってー。」


例えばすれ違っても会話さえ交わさないあたし達が電話やメールをしたりする姿なんて、想像が出来ないのだが。



「ほら、保健委員の連絡事項とか伝えなきゃじゃん?」


「アンタは代理でしょ。」


そう言ったが、仕方なく赤外線通信で番号とアドレスを交換し合った。


今更こんなことをし合う必要なんてないと思うのだが、まぁ、この程度なら害はないと思ったから。

< 66 / 418 >

この作品をシェア

pagetop