星屑
「ねぇ、別に良いって。
あたし今、そこまでお腹空いてないし。」


「んー、でもなぁ。」


勇介はそう、少し口を尖らせながら宙を仰いだ。


が、すぐに何かを思いついたようにぱあっと顔を明るくし、あたしを見る。



「星、見に行く?」


「…でも、遅くなるんじゃない?」


「うちはそういうの平気だから。」


まぁ、あたしもママにメール打てば問題ないけど。


何より、あんまり制服姿で遅くまで街にいると、補導される危険もある。



「じゃあ、行く。」


どうしてこう、あたしは勇介の誘惑に弱いのだろう。


と、いうか、コイツは多分、あたしの喜ぶポイントを熟知しているんだと思う。


それがまた、悔しいけれど。


結局あたし達は街で何かを買うでもなく、再び単車に乗った。


そして向かうのは、前に一緒に星を見た、丘の上の古びた図書館。


勇介の、細身なのに筋肉質の背中は好きだ。


服越しに感じる体温とか、気を使ってゆっくり走ってくれるとことか、そういうのに安心してる自分がいる。


目を細めれば、周りの車やネオンの色が、きらきらと輝いて見える。


あたしはその服を、きゅっと握った。

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