星屑
到着した図書館に、やっぱり人の姿はない。


ヘルメットを取って髪の毛を直していると、軽く笑った勇介は手を伸ばしてきた。


その手を取ると、彼は歩き出す。


どんなに恋人っぽくても、あたし達はそんな関係ではないから不思議。


ふたり、立入禁止を抜けてみれば、やっぱり眼下に広がる夜景と、境界線すらないような星空。


芝生に腰を降ろすと、勇介は煙草を咥えた。



「ここさ、マジで奈々以外知らないから。」


だからどうしたと言うのだろう。


いつもこうやって、遠まわしに口説いてるような口ぶりばかり。


ヒロトはわかりやすいけど、勇介のことはやっぱりよくわからない。


彼は後ろ手に手をつき、足を投げるのは癖だろう。



「勇介もさ、シンちゃんの店の常連だったんだね。」


「…シンちゃん?」


「あのダーツバーの店長だよ。」


あぁ、と彼は、思い出したように呟いた。



「俺は先輩からあの店教えられただけだから。」


だからシンちゃんのことはあまりよく知らないらしい。


咥え煙草のまま、勇介は星空を仰ぐ。



「ダーツ、上手いんだって?」


「俺は普通だと思うけど。
奈々もダーツすんの?」


「しないってゆーか、ルール知らないし。」


言うと、彼は軽く笑った。


だからあたしも笑ったら、キスをされた。


相変わらず、いつも突然で脈絡すらないそれに、目を閉じるのを忘れてしまう。

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