星屑
不意に、ヒロトの顔が頭に浮かんだ。


ヤツになら、多分本当に寝込みを襲われていたのだろうし。



「…わかったよ、気をつけるから。」


だから離れてよ、と付け加えた。


てか、勇介にだけは言われたくないけど。


煙草と、チュッパなのだろう微かに甘い香りを混じらせ、彼はあたしの瞳を見据える。



「なぁ、まさか俺だけが奈々のこと見てるとか思ってない?」


「……え?」


一体、何を言っているのだろう。


勇介以外にも、あたしを観察している人がいるとでも言いたいのだろうか。



「奈々はもう少し、自分のこと考えるべきだね。」


最後は冷たい瞳にも見えた。


てゆーか、あたしが誰に何をされようと、勇介には何の関係もないはずだ。


彼はやっと体を離し、舌打ちを混じらせる。


こんなにも不機嫌さ丸出しの勇介なんて、初めて見た。



「ねぇ、何でそんなにキレてんの?」


なのに向けられたのは、その背中。


パタンとドアが閉まる音が聞こえ、不貞腐れるように枕を殴る。


いつも突然だし、何考えてんのかわかんないし、意味不明なこと言いながらキレてみたりで、こっちこそ腹が立つばかりだ。


苛立ち紛れにベッドから降り、教室に戻ろうとしたその瞬間。



「奈々ー?」

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