星屑
結局、そんな沙雪を残し、あたしはひとり、教室へと戻ってきた。


すぐにお帰りー、なんて言った樹里が近寄ってくる。


彼女もまた、アネゴ肌ではあるが、異常なまでに寂しがりで、でも素直じゃないヤツ。


多分、あたしも沙雪もサボってると、寂しがると思ったから。



「前の休み時間の時、勇介来たよ。」


「…勇介が?」


「奈々のこと探してて、保健室行ったって言ったら心配そうにしてたんだけど。」


会った?


と聞かれたが、言葉が出ない。



「どしたの?」


「んー、どうもしないけどさぁ。」


どうしても、歯切れの悪い返事しか返せない。


今更勇介に、心配してくれてありがとう、とも言えないし、あたしが悪いわけじゃないのにごめんってのも変だし、どうすれば良いというのか。



「あたしさぁ、勇介のことよくわかんなくて。」


「うん。」


「好きとかそんなのじゃないと思うんだけど、何か気になるってゆーか?」


とにかく似てて、なのに何を考えているのかがわからない。


吐き出すように呟いてみれば、樹里は困ったように笑っていた。



「わかるなぁ、そういうの。」


少し驚いて、彼女を見た。


だけどもそれ以上は何も言おうとしないから、あたしも聞けない。

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