星屑
樹里が今付き合ってる大学生ってのに本気じゃないのは、見ててわかる。


多分、寂しさ紛れに一緒にいるだけだろう。



「樹里、好きな人いんの?」


「あたしもよくわかんないんだけどさぁ。
ずっとさ、何となく気になってんだよね。」


そう言って、苦笑いを浮かべた。



「それって誰?」


「奈々の知らない人だよ。」


ふうん、と言った。


知らない人だと言われた以上、追及は出来ないから。


結局あたし達は、どれだけ仲が良いと言っても、どこかプライベートをさらけ出さないところがある。


なのに人は共通の話題を見つけたがり、それで繋がりたがるのだろう。


やっぱり満たされていない気がして、どちらからともなく曖昧に笑った。



「そういえばヒロトもさぁ。
いつもあんな言い方しか出来ないけど、あれで結構マジみたいだよ、アンタのこと。」


「だってあんなののどこを信じて良いのかもわかんないじゃん。」


「まぁ、そりゃそうだけどさぁ。」


そんな話をしているうちに、休み時間の終了を告げるチャイムの音が鳴り響いた。


席に戻り、あたしはチュッパを咥えて頬杖をつく。


制服には、微かに煙草の匂いが移ってる気がして、それがヒロトのものなのか勇介のものなのかもわからず、心底嫌になった。

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