星屑
あれから勇介とは、少しの会話を交わすこともなくなった。


別にどちらが避けているというわけでもないのだろうが、それでも目で追っている自分がいる。


彼は最近、人の輪を離れてひとりでいることが増えているみたいだが、あたしの関知するところではない。


ヒロトは会えばいつもちょっかいを出してくるし、樹里や沙雪なんて面白がって、助けようとさえしてくれない。


あたしの周りってのは、どうにも薄情な女か軽薄な男しかいないらしい。


正直、友達は少ない方だと思う。


人間関係の構築なんて苦手だし、何よりヒロトのグループと仲が良いと思われているらしく、誰も声なんて掛けてはくれないから。


まぁ、便利な反面、それはそれで寂しいと思う。



「ねぇ、奈々。
あれから勇介くんとどうなってんの?」


「どうもなってないよ。」


あたしの答えに不満足なのか、彼女は口を尖らせる。



「奈々がそんなんだからさぁ、さゆ、大地くんと仲良くなれないじゃーん。」


曇り空で憂鬱さが増す中で、出された名前と、間延びした喋り方。


それが妙に癇に障り、沙雪を睨む。


ぶっちゃけそんなことは、あたしにとってはどうだって良い。



「ほらぁ、奈々そんな怖い顔しないの。」


樹里が割り込んで来た。


そして沙雪に向け、



「機嫌悪い時の奈々に話し掛けたって無駄だよ。」


そう言いながら、場を和ますように仲裁してくれた。


あたし達はよく、三姉妹、と称される。


アネゴ肌の長女が樹里、次女のあたしは気分屋で、三女の沙雪は自由奔放。


本当に、そんな感じだ。

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