星屑
ヒロトにとって、職員室はまさに、敵の巣窟。


入っただけで理由もなく呼び止められ、こいつはいつも小言を言われている。


それを知っているから、あたしも引き留めたりはしなかった。



「手伝ってやったんだから、今度ヤらせろよ?」


「頼んでないでしょ。」


「うっせぇ、バーカ。」


そしてヒロトはあたしに背を向けた。


すぐに背中を向けたがるのは、勇介と似ているところなのかもしれない。


だからってのもあるだろう、余計なことさえ言わなければ、彼といるのは嫌いじゃないのだと思う。


ふと、どっち派なのかと問うてきた沙雪の言葉を思い出す。


全然違うようで、でもどことなく似ているふたり。


出来るなら、問題なくずっとこのままなのが良いのにな、って。


再び高くなったノートの山に四苦八苦しながら職員室に入り、担任の机の上にそれを置いた。

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