君の声
真由も負けてはいなかった
「…私の家との取引をなかったことになさるのかしら?」
真由はなんとしてでも立夏の妻の座につきたい一心で脅しをかけた
実際には本郷家の方が白石家より上の立場にある
立夏はもちろん取引先とのパワーバランスも熟知している
「ふっ……僕の家との取引を取り消した場合困るのはそちらでは?」
立夏の言葉に真由は下唇をかんだ
(…完璧な男…)
「では…律子さん行こうか」
「はい」
真由は振り返って龍郎に駆け寄った
「叔父様…」
「……」
龍郎は黙っていた