君の声

忘れた立夏



 「やはり検査しても異常は見られません」

 「……記憶喪失ってことですか?」

 「まぁ一時的なものでしょう。ただ…記憶が戻るかどうかはわかりませんが…」

 「そんな…」


医師の説明を聞いた里香子は肩を落とした


覚醒した立夏は由衣のことを一切を覚えていないようだった

 「母さん、この方は?」

 「…立夏?」

 「僕は…事故にあったの?」

 「…っ…」


由衣はその場にいられずに飛び出していた


 「由衣様っ!」


慌てて律子が後を追った


 「?彼女は誰?」

 「立夏…冗談を言っているの?」

 「何言ってるんです?彼女はなんで僕のそばにいるんです?」




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