風鈴



(市哉さんは、それでもいいのかしら…)



資産家の次男が、どこの馬の骨とも知れぬ女と手をつないで歩いている―



紫の脳裏に一瞬、そんな悪い噂が立つ光景が浮かんだ。



だからといって、今は手を振りほどく気にもなれない。



紫は歩きながら、つないだ手を見つめた。



しっかりと握られた市哉の大きな手から、幸子の手とは違った温もりを感じた。




< 108 / 163 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop