とある男女の攻防戦
ぶつかって吹っ飛ばされたんですけど


「麻夕さん聞いてくださいっ、あたしの先輩の話なんですけどー、」



そう言いながら会社の先輩の話を始める彼女。私は相づちをうちながら意識は彼女の指。




水洗いなどの家事とは無縁だろう。荒れを知らない綺麗な指先に装飾を施す。




パールを乗せ終え


ランプへと手を導いて私の仕事は終了。











「で、文句ばっかり言ってくるんです。ちょっと彼氏と電話してただけなのにですよ!?休み時間にちゃんとしてたじゃねぇかって感じですよね。自分が行き遅れてるからって僻むなって思いません?」



「そーだねー……」




行き遅れって言うのは可哀想だと思うけど。



と内心思いつつ

苦笑いすれば
彼女はにっこり笑う。





「麻夕さんも良いじゃないですかっ!あんなに素敵な彼氏さんがいて。」


「いや……私は」
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