とある男女の攻防戦
ドンッ、
「っ!!」
勢い良くぶつかった肩。力が強くて傾く体。危ないっ!……そう思った時には遅かった。
今上ってきた所を
2、3歩よろめいて階段を降りれば、
そのままバランスをとれず転がるようにガタガタと落ちて。
「っ、たぁ……」
どこに付けばいいのか分からなかった、けど
とりあえず伸ばした手は
手摺りをつかみ。
なんとか下まで落ちるなんて大惨事にはならずに済んだ。痛い。座り込んでしまった体が、痛い。
最悪だ。
「―――大丈夫?」
ふと、かけられた声。声のした方に顔を上げれば、
覗くように私を見下ろしている男性。
「あ!!!!!!」
周りの騒音をに負けず大声が出た私に、目の前の男がびくっと驚く。
この前のくそ男…!
「最悪…」
「だろうね、派手にこけたし」
ぼそり呟いた心の本音に男が困ったように笑いながら返してくる。