続きは、このままで…
私に婚約者とは、あまりに無縁な言葉だ・・・
間抜けな表情になっているであろう私を、ハッと吐き捨てるように笑うと。
「勘違いするな、相手は俺じゃない。
東条 拓海だ…――」
「はっ…、東条グループの社長ではございませんか?」
「あぁ、そうだけど?」
尋ね返せば、今度は薄笑いを浮かべている雅貴様。
「と、東条グループは、お取引先ではございませんか…。
あの、私にはよく事訳が・・・」
主様の態度には諦めつつ、だけど命令には牽制してしまう。