続きは、このままで…
だって、東条グループと言えば・・・
2年ほど前から今まで、兄が産業スパイとして乗り込んでいる会社で。
東条といえば、後藤家以上に由緒正しい家柄とされている。
それに東条社長と面識も無い私が、何故に婚約者のフリが必要なの?
膨らむ疑問と主様の高笑いで、息苦しさを覚えてしまう・・・
「極上の女を手に入れる為に、邪魔者を排除する。
詳しい事は佐田に聞いておけ。
いいな、命令だ――」
「っ…、はい、かしこまりました…」
「話は以上だ、俺はこれから出掛けてくる」
ギシッと音を立てて、革張りのソファから立ち上がった主様。
部屋を包み込んだベルガモッドの香りが、心をチクチク蝕んでいた。