歪んだ世界
優花は自分の髪をかきむしるようにさわっている。

「そんなに怒んなくてもいいじゃん。」

と言いながら河田はバッグからなにやら写真のような1枚の紙を、

優花の方に見えるようにピラピラと見せた。

優花は、それを見るなり目の色を変え、それを河田の手から奪おうとした・・・が、河田はそれよりも早くバッグの中へと入れた。

「あんた、それ、ロッカーに預けたって・・・。」

優花はじっとバッグを見ている。
「うん、でもそれは優花がシャワー浴びてる時に取りに行ったんだよ。」と子供のようにかしげて言う。

「…つまり、私に言ったアレは嘘だったってこと?」

「優花ちゃんは、人を信じすぎるんだも~ん。」

と一切、反省した様子を見せず笑う河田。

「…。」

優花は、河田をいっそう怒りに満ちた目で河田を睨む。

少し時間は経ち、いつの間にかタクシーは町ではなく、森の横を走っていた。

優花は、そっと自分のかばんにある水筒に手をのばす…。

河田はそれには気づいていない…。
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