歪んだ世界
PM10:00頃

優花は、薄暗い部屋のダブルベッドから裸のまま起き上がり、乱れた髪を適当に直した後立ち上がった。

「シャワー浴びんの?」と、まだベッドで寝ていた河田が起き、優花に聞く。

「…。」

優花は無言でシャワールームへと入っていった。

河田は笑顔で

「いってらっしゃ~い。」と手を振る。

ドアを閉めると優花はすぐにシャワーを浴びる。キュッと音を、たてた、後勢いよくシャワーの水はザァーっと音をたてながら出てきた。
優花はそのままシャワーを浴びながら体をごしごしと洗い始めた。ごしごし、ごしごし、ゴシゴシッと何度も同じような所を強く洗う…。

少しの間そうしていると、優花はピクリとし動きを止めた。

「…。」

優花は口を手で覆うと…「…うっ、うぇ、おえ゛、げぇ…!」優花の声はザァーっというシャワーの音と混じりながらも河田の寝ているベッドの所まで聞こえた。

「…。」

河田は、黙ってそれをせせ笑うかのように聞いていた…―。

ガラリッと優花はドアを開け出てきた。
体を拭いた後、カゴに入れておいた下着を着て部屋のソファーに座る。

「よっと、俺もシャワーあ~びよっと。」

河田も立ち上がり、シャワールームへと行く。

「…。」(優花)

「あぁ、そうそう!」

河田はドアの前で立ち止まり、何かを思い出したように優花の方を向いた。

「バッグをあさっても無駄だよ、アレは近くのロッカーに入れてあるから。」

「…!」

河田はそう言うとシャワールームへと入っていった。
 
「・・・ちくしょう。」優花はにぎり拳を強く握った・・・。

河田の言うとおり、優花は河田のバッグをあさろうとしていたのだ・・・。
 
そうして、1時間ほど経ち2人は、タクシーへと乗った。

「運転手さーん、○条○丁目の○○マンションまで行ってくださぁい。」
 
と、河田は運転手にそう言う。優花は驚く。

「・・・どこ行くつもりよ?」

「俺ん家。」

河田は質問に即答する。

「ふざけないでっ!何であんたの家まで付き合わなきゃなんないのよっ!?」

優花は我慢できず怒鳴り声でそう言う。
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