恋時雨~恋、ときどき、涙~
【急にひまになった】


健太ちゃんはわくわくした目をして、笑った。


わたしはメモ帳に【約束】と書いて、右手の小指を健ちゃんに突き出した。


「何? ゆびきり、げんまん?」


と健ちゃんが首を傾げる。


わたしは首を振って、メモ帳に書いた。


【約束の手話】


「へえ。覚えとく」


健ちゃんは、わたしの小指に自分の小指を絡めて、結んだ。


「約束、だんけな。日曜日、迎えに行く」


わたしはしっかりと頷いた。


小指なのに、健ちゃんのは大きな小指だった。








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