恋時雨~恋、ときどき、涙~
この写真は、健ちゃんが高校2年生の春に、桜の木の下で撮ったものらしい。


やっぱり、わたしの予感は的中した。


健ちゃんと果江さんは、かつて恋人だったのだ。


ふたりは、高校1年生の春に交際を始めた。


「健ちゃん、高校の時からバイト掛け持ちとかして、金ためてたんだ」


いつか、果江に心臓の手術受けさせてやるんだ。


そう言って。


「でも、おれたちが高2の夏に、果江は渡米したんだよ」


わたしは、亘さんの唇の動きに夢中になった。


「ドナーは見つかってなかったけど、体力のことを考えたら、渡米は早い方がいいだろうって」


それからも、健ちゃんは必死になってアルバイトを続けた。


もともと掛け持ちしていたバイトを、さらに増やしたらしい。


果江さんはアメリカで治療を受けながら、ドナーを待ち続けていた。


でも、中々みつからないのが現実だったのだ。


健ちゃんと果江さんは、エアメールでお互いを励まし合いながら、遠距離を乗り越えていたのだ。




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