恋時雨~恋、ときどき、涙~
「これが届かなかったら、おれは、健ちゃんときみを応援しようと、思ってた」


それをじっと見つめるわたしの肩を、亘さんが叩いた。


「いいよ。読んでも」


わたしは首を振って、エアメールを亘さんの前へ滑らせた。


わたしの心は、嵐が過ぎ去った後の川のように、反乱していた。


わたしに、エアメールを読む権利はないし、そんな勇気もない。


でも、亘さんはまたエアメールを押し返してきた。


「読んでくれないかな。それから、今後のことを考えて欲しい」


【今後?】


メモ帳を突き出すと、亘さんは真剣な面持ちで頷いた。


「果江から、健ちゃんを奪う覚悟を決めるか。果江と健ちゃんを、もう一度、会わせてあげるか」


奪う、だなんて。


それじゃ、まるで、わたしが悪者みたいに、亘さんの唇が言っているように思えた。


それが、悲しかった。


「もう一度、果江と健ちゃんに、時間をあげたいんだよ」


わたしは、何も答えることができなかった。


亘さんが、泣きそうな顔をしていたからだ。


わたしは、エアメールを開いた。



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