恋時雨~恋、ときどき、涙~
「やっぱりね」と中島くんの唇が動いた。


「先月くらいから、すごい噂だよ。知ってる?」


わたしは首を振った。


そして、食い付いた。


今は、どんな事でもいいから静奈の情報が欲しかったからだ。


【うわさ? なに?】


中島くんは、都合悪そうに背中を丸めた。


【知りたい
 教えて】


中島くんは、鞄の中に右手を突っ込んだ。


出した物を見て、わたしはなんとなく不安になった。


A4よりも小さく、B5よりも若干大きいサイズの、厚さ1センチほどの雑誌だった。


表紙には濃いメイクをしたきれいな女性が、アップで写っていた。


エナメル質の表紙を捲りながら、中島くんの唇がゆっくり動いた。


「おれたちの勘違いならいいんだけどさ。どうも、勘違いでもないらしいからさ」


中島くんは淡々とした表情で、何枚もページを捲り続けた。


両手で目をふさいでしまいたかった。


それは、地元の風俗情報雑誌だった。


中島くんが、わたしの肩を叩いた。


「これ、この子」


そのページを開いて、中島くんは真っ直ぐわたしを見た。


両手で顔を覆いたくてたまらなかった。


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