恋時雨~恋、ときどき、涙~
わたしは首を振った。


そのページの左下に携帯電話の番号と、確かに、デリバリーという文字があった。


中島くんが、その番号を指差した。


「ここに電話すると、女の子が来る仕組み。ピザ屋みたいに。それで」


さらに説明を続けようとする中島くんを、わたしは睨み付けた。


いやらしいことなのだと、写真を見ればすぐに分かる。


一瞬、中島くんがたじろぐのが分かった。


わたしは、苦しかった。


心臓が張り裂けてしまいそうなほど、飛び跳ねていた。


わたしは、写真のその女の子だけを見つめた。


なぎさ、19歳、と書いてあった。


しかも、シルバーリングの真横にだ。


わたしは震える手で、メモ帳にボールペンを走らせた。


【ちがう
 静奈じゃない
 なぎさって書いてある】


中島くんが吐息を落とした。


「それは、源氏名だよ」


首を傾げて睨むわたしに、中島くんは続けた。


「源氏名は、芸能人で例えると、芸名だよ。武内さんの気持ち分かるけど。確かめてみるといいよ」


わたしは首を振った。


これは、静奈じゃない。


このシルバーリングだって、そうだ。


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