恋時雨~恋、ときどき、涙~
「順也! 順也! 静奈ちゃんが来てる」


健ちゃんが駆け出した。


でも、すぐに振り向き、わたしの腕を掴んだ。


「このままじゃ、絶対だめだ」


わたしはハッとした。


頷いて、わたしは駆け出した。


一階に下りて、人混みの中を凝視した。


静奈を、探した。


いない。


いない。


でも、きっと、まだ近くにいる。


わたしは、どうしても諦めきれなかった。


たくさんの人や車椅子にぶつかりながら、外に飛び出した。


駐車場は雪帽子をかぶった車が、ずらりと並んで停まっている。


どうしよう。


わたしはパニックに陥った。


うろうろしていると、赤いユニフォーム姿の順也の車椅子と衝突してしまった。


順也も、わたしと同じだった。


パニックになっていた。


わたしと順也は、お互いに手話をしようとしながら、お互いにできない状態だった。


冬の冷たい陽射しが、積もった雪に反射して眩しかった。


ただうろたえてばかりのわたしと順也の間をすり抜けて、大きな背中が一目散に駆けていく。


健ちゃんだった。


白いワゴン車と黒い軽自動車の間で、健ちゃんはその腕を掴んだ。



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