恋時雨~恋、ときどき、涙~
〈果江さんと言い争いになった。それに、果江さんが苦しんでいるのに、わたしは何もしてあげることができなかった〉
わたしが冷静になって果江さんの話をきいてあげていられたら、こんなことにはならなかったのかもしれない。
果江さんが興奮したりしなくて済んだのかもしれない。
〈ごめんなさい〉
もう一度謝ると、健ちゃんはあっけらかんと笑った。
こんな時だっていうのに、笑った。
「なに言ってるんけ。真央はちゃんと助けを呼んだだろ」
え? 、と顔をあげると、健ちゃんの優しい瞳と目が合った。
「聞いた。順也から。真央、電話かけたんだってな」
わたしは頷いた。
でも、やっぱり納得がいかなかった。
〈でも、わたしの耳が聴こえていたら、すぐに救急車を呼ぶことができた! 話せていたら〉
そこまでいいかけた時、健ちゃんがわたしの両手を掴んだ。
「真央は、何も悪くねんけ。自分を責めるな。真央も果江も悪くない。誰も悪くねんけ! こればっかりは仕方のないことだんけ」
とにかく、行こう、そう言って健ちゃんはわたしの手を引いて病院の中へ入った。
わたしと健ちゃんはエレベーターに乗り、3階へ向かった。
エレベーターを降りると、フロアーには重い重い空気がずっしりと漂っていた。
薄暗いフロアーには、睨み合う静奈と亘さんのシルエットがあった。
2人とも、鬼のような形相で何かを言い争っていた。
わたしが冷静になって果江さんの話をきいてあげていられたら、こんなことにはならなかったのかもしれない。
果江さんが興奮したりしなくて済んだのかもしれない。
〈ごめんなさい〉
もう一度謝ると、健ちゃんはあっけらかんと笑った。
こんな時だっていうのに、笑った。
「なに言ってるんけ。真央はちゃんと助けを呼んだだろ」
え? 、と顔をあげると、健ちゃんの優しい瞳と目が合った。
「聞いた。順也から。真央、電話かけたんだってな」
わたしは頷いた。
でも、やっぱり納得がいかなかった。
〈でも、わたしの耳が聴こえていたら、すぐに救急車を呼ぶことができた! 話せていたら〉
そこまでいいかけた時、健ちゃんがわたしの両手を掴んだ。
「真央は、何も悪くねんけ。自分を責めるな。真央も果江も悪くない。誰も悪くねんけ! こればっかりは仕方のないことだんけ」
とにかく、行こう、そう言って健ちゃんはわたしの手を引いて病院の中へ入った。
わたしと健ちゃんはエレベーターに乗り、3階へ向かった。
エレベーターを降りると、フロアーには重い重い空気がずっしりと漂っていた。
薄暗いフロアーには、睨み合う静奈と亘さんのシルエットがあった。
2人とも、鬼のような形相で何かを言い争っていた。