恋時雨~恋、ときどき、涙~
真央は裁縫が得意なんだ。


真央の両手は、いつだって元気なんだ。


たくさん、話をしてくれるんだ。


真央は、足が不自由なぼくの彼女の親友なんだ。


真央はぼくの幼なじみなんだ。


真央は……真央は……真央は……。


もういい。


もういいから、順也。


わたしは溢れる涙を拭いて、順也の手を両手で握りしめた。


「ごめん」


謝ったのは、亘さんの震える唇だった。


すると、順也はわたしの手を離して、亘さんの両肩を押さえ付けて言った。


「真央が、どんな思いだったか、分かりますか?」


「え?」


亘さんが困った顔で、順也を見上げた。


わたしは、順也の唇を必死に読み取った。


「真央は電話がいちばん嫌いなんだ。耳が聴こえないし、話せないから」


でも、真央は、ぼくとしーのスマホに、何度も何度も何度も、電話をかけてきた。


そう言って、順也は亘さんを睨んだ。


「耳が聴こえない真央が、ぼくに……しーに……電話を掛けてきた! その時の真央の気持ち、亘さんに分かるんですか」


亘さんの目が大きく見開いた。


亘さんの目と、目が合う。


「電話……かけたの?」


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