恋時雨~恋、ときどき、涙~
わたしは、小さく頷いた。


亘さんのつり上がっていた目もとが、次第に垂れていくのが分かった。


「果江を助けようとして……それで?」


わたしはもう一度、今度はしっかりと頷いた。


先に目を反らしたのは、亘さんの方だった。


順也はときおり、わたしにも分かるように手話を交えながら、亘さんに言った。


「亘さんにとって、果江さんが大切な幼なじみであるように。ぼくにとって、真央も同じです」


真央を傷付けたら、許さない。


それだけ伝えて、順也は泣き崩れた。


「ごめん……順也」


そう言って、目を伏せた亘さんの涙を、わたしは見逃さなかった。


健ちゃんが、泣き崩れる順也を抱きかかえて、車椅子に座らせた。


涙を拭う顔を扇ぐと、順也が顔を上げた。


〈ありがとう〉


「本当のことだから」


そう言って、順也は笑った。


ここに順也が居なかったら、と想像するだけで背筋がぞくりとした。


わたしは、一体どうなっていたのだろう。


きっと、自分を見失っていたに違いない。


肩を叩かれて、わたしは顔を上げた。


「ごめん、真央ちゃん。ひどいこと言った……言い過ぎた」


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