魔王様と暁の姫
その手を取ることに少し躊躇いながらも、少年は手を取る。


「ユーリ、だ。よろしく」

「花の名前なんだな。知ってるか? リアの一番好きな花だぜ。ここの庭って、薔薇の次にユリが多いんだよなー確か」

「そうなのか。クオイと呼んでもいいか……?」


少し不安になる。それでもこれは直感だろうか、唯一無二の存在になるかもしれないという。相手はあっけらかんと答えた。


「そんなの聞くまでもないって。俺たちもう親友なんだし、そんなにかしこまるなよ」


「……ああ」



これは雨が繋いだ運命かもしれない。


少女に視線を向けるとーー春の陽ざしのような笑顔が返ってきた。



今だけは。



今だけはこのままで……。


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