JACK IN THE BOX

真実なんて[ミニストーリー]

ただ、自由になりたかった。

それだけの事さ。

ほら、また信じてくれない。

……信じてもらえない真実なんて、存在する意味があると思う?




「君、誰?」

ベッドの上、包帯だらけの少年が隣に立ついかにも監視人という雰囲気の男性を見上げて尋ねる。

「あなた様のお世話をするよう仰せ付かりました。御祖父様が、あなた様の事をひどく心配されて」

あなた様を心配、ね。どうだか。大方後継者に死なれて“不名誉な噂が広がる事”を心配してるんだろう。

「あなた様は御祖父様にとって唯一の、大切な後継者ですから」

ほら、ね。やっぱりだ。真剣な男性の言葉に少年は冷ややかな笑みで応えた。

僕が孫だからじゃない。当主の長男の一人息子で、後継者だから。それが無ければ、僕が死んだって気に留める事すらないんだ。

「なぜ窓から飛び降りたりされたのですか」

責めるような口調で男性は問う。

数日前、少年は三階の窓から飛び降りた。たまたま落ちた場所が良かった為、大怪我をしただけで済んだ。

「一歩間違えれば取り返しのつかない事になっていたでしょう。一体なぜあんな事を」

別に死にたかった訳じゃないし、死のうと思った訳でもない。

それに、理由を聞いて欲しいとも思わない。上辺だけで同情されても嬉しくない。

少年は包帯が巻かれた指を握ったり開いたりしながら答えた。


< 19 / 41 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop