JACK IN THE BOX
くす、と悪戯っ子のようにシアンの瞳が笑う。こうしていると見えているんじゃないかと期待したくなる。

「ウィル、あなたと話した後、自分からサンに謝りに行ったのよ」

「えらいね」

「えらいのはあなたよ。どうやって叱るかと思ったら、さすがパパよね」

シアンの手がティアの手を探す。手の平に傷痕がある大きな手を彼女は両手でそっと包み込む。

「シアン、ウィルの“傷”の事知ってたのね」

「顔の傷の事?」

「ううん。心の傷の事よ」

ああ、とシアンは頷いた。

「あの子がうちに来た日の寝言、覚えてるかい?」

ティアは首を横に振る。

「“僕が殺した”って。聞き覚えのある台詞だろ?」

微笑みながら話すシアンの横顔が、ほんの少し影を帯びた。

自分を庇って敵兵に撃たれた母親の姿を思い出す。

『僕が殺したんだ……!』

記憶が戻った当時、シアンが何度も繰り返していた言葉だ。

「ウィルは僕と似ているよね」

「……そうね」

ティアは頷き、シアンの肩に頭をもたげた。


 
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