うさぎ
そんなある日私の係の女の子(私には劣るけど可愛い子)が私にご飯を食べさせてくれていたとき、施設でなにかあったみたい。
よくわからないけどただでさえ痛い頭に追い打ちをかけるような不愉快な音が鳴り響いたから。
彼女はとても可愛いし、気の回るいい子だけどちょっとおっちょこちょいなのね。
びっくりしたみたいで外の様子を身に私のゲージを開けっ放しでどっかに行ってしまったの。
はっきり言ってチャンスだと思ったわ。
そしてもう二度とないチャンスかもしれない。
隣でご飯を食べていた彼が、もう動かすのも大変な耳を必死に動かして私を留めようとしたけど、もうそんなの関係なかった。
彼よりもまだ私の病状は軽かったしこのくらいのゲージなら飛び越えることが出来た。
ゲージを飛び越えて、机の上に降りた私はその下にあったドラム缶に飛び降り、そこから下に降りた。
初めて立ったゲージ以外の世界に感動しそうになった。
だけどそんなことしている暇は無いわ。
私にはやりたいことがある。
そして私はちょっとついていたみたい。
さっきの騒ぎでドア開けっ放しで行ってしまったみたいなの、あの子。
ちょっと重くなってきた体を一生懸命引きずり、なんとか廊下に出られた。
よく周りを見渡すとここは2階だったみたい。
地上なら窓ぐらい付けなさいよね。
ぶつぶつ言っても始まらないからほとんど転げ落ちるように階段を下りてなんとか一階に着いた。
あと外までもう少し
外の光が見えるところまでもう少し。
本当に運良く誰にも見つかることなく外に出ることが出来たときは、これはもしかしたら夢なのでは無いかと疑ったくらいよ。
そういえばあの騒音は聞こえなくなっていたから、あれは誤作動だったのかしら。
空調設備から出る空気ではない新鮮な外の空気を吸ったのは、初めての経験だったからとてもとても美味しかった。
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