深淵
「・・行くか」                             

 キョウスケは意を決したように、静かにそう言って池へと足を進めた。                           

 風が吹いたせいなのか、辺りの木々はガサガサと揺れた。                                 

 その中には必ず二人がいる。                                 

 そしてこちらの行動を見ている。                                

 まるで獣か狩人だな。                         

 キョウスケはそう思うと、思わず笑い声を漏らしてしまった。
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