深淵
 人間じゃなくて良かった。                                   
 キョウスケはナイフの刃を出して自分の腕を切りつけた。                                 
 無性に血が見たくなったからだった。                              

「ん?・・」                              

 腕を切りつけ刃先を月にむけた瞬間、背後から足音が二つ聞こえた。                              

 少しずつ、ゆっくりとその足音は近づいてきた。                         

「やぁ・・バーサーカーかな?」                                 
 足音の一人がキョウスケの背後からそう問い掛けた。
< 37 / 175 >

この作品をシェア

pagetop