たいよう
いつの間にか、いつもの教室のようにグループに分かれてお好み焼きを食べていた。
普段、満南といるあたしは、満南とふたりっきり。誰にも詮索されないし、楽だ。
あたしは、満南に甘えきっていた。
頭では分かってる。
満南には満南の友達がいて、あたしも満南だけじゃなくていろんな人と付き合っていかなきゃいけないこと。
でもどうしても。
彼の話を他の子から聞きたくなかった。
そう、あたしのわがまま。
「あ、水瀬くん」
突然、満南がそう口にした。
「紗愛」
久しぶりに聞いた、あたしを呼ぶ声。
「ん」
と差し出されたのは、小さな紙切れ。
「塚本さん、邪魔してごめん」
そんな言葉が聞こえたと同時に、すっと気配が消えた。
顔は合わせなかったとはいえ、久しぶりの接点だった。目の奥がつん、とした。
“帰るとき言って
送るから
空紘”
小さな紙切れには
こう書いてあった。