アイ・マイ上司とlove☆days
もしかして…なんて、マンションのエントランスを潜り抜けるまでに。
輝が居てくれるかもしれないと、淡い期待を心のどこかで抱いていたけど。
出くわしたのは、仕事や学校の出勤するマンションの住人ばかりで。
どうやら本当に、優しい彼を怒らせてしまったみたいだね・・・
そんな寂しさを感じながら、マンションからほど近い駅に到着すると。
通勤時間帯でごった返す電車を避けるように、私はタクシーに乗り込んだ。
運転手さんに目的地を告げると、外部の喧騒が嘘のように静かに走り始めて。
私は座席に身を預けながら、携帯を取り出してある所へ電話を掛けた・・・
「もしもしー?」
「あ、涼子?」
私が発信を掛けたのは輝じゃなくて、経理部の同僚である涼子で。
「どうしたのよ?」
「ごめん、遅刻しそうだから伝えてほしいんだけど…」
このお願いをする為に、既に出勤している筈の彼女の携帯に電話を掛けたのだ。