アイ・マイ上司とlove☆days
輝が経理部へと逆戻りして、渡辺さんの代わりに課長になった事も。
2人が力を合わせて、美紀さんをサポートした為だったと輝に聞かされていたけど。
輝と知り合いのクセに他人行儀に徹していたのも、そんな“いわく”があったからで。
美紀さんの誤解がようやく解けて、苦しみが和らいでくれて良かった…――
「鈴ちゃん…、だからありがとね?
すごい急な話だけど、来月で退職する事にしたから」
「はぁあああ!?」
「ちょっ、耳元で叫ばないでよ!」
突然の大声で驚いたうえ、迷惑そうに抱きしめていた私を引き離す美紀さん。
「だ、だって…、なんで!?」
目をバチバチと瞬かせて、怪訝なお局様フェイスを見せる彼女を見つめれば。
「つまりね、仕事を辞めて朋樹のとこへ行こうと思うの。
アイツが向こうの支社の経理を一手に引き受けてるし、当分は異動も無いみたいでさぁ。
ついでに本社のコッチは、稲葉さんが牛耳ってるしねー?
でも…色んな男を渡り歩いたけど、私に合うのはアイツ以外いないみたい。
まっ、ここが年貢の納め時ってヤツよ。
意外と打ち込んだ仕事より、家庭を選ぼうと思うなんてね」
あーあ…なんて言いながらも、いつになく表情が柔らかい美紀さん。
「ていうことは…」
「そっ、結婚する事にしたの。
色々スキルも積んだし、落ち着いてから向こうで仕事探すつもりよ」
「きゃー、おめでとうございます…!」
嬉しすぎる報告に喜ぶ私の目に入ったのは、左手薬指にキラキラ輝くリングで。